漫画「サイコ×パスト」各事件の犯人の動機を考察!モデルとなる実話の事件はある?(ネタバレ注意)

漫画「サイコ×パスト」各事件の犯人の動機を考察!モデルとなる実話の事件はある?(ネタバレ注意)

2022年から「別冊少年チャンピオン」にて連載された大人気漫画「サイコ×パスト 猟奇殺人潜入捜査」における事件について犯人の動機を考察していき、モデルとなった実際の事件があるのかを考察していきたいと思います。

初版発行日‎‎‎‎‎2022年5月6日発売
作者原作:本田真吾
巻数6巻(コミックス) ※2024年3月10日時点
ジャンルサスペンス
Wikipedia「サイコ×パスト 猟奇殺人潜入捜査」のWikipedia
あらすじ主人公の五代一哲(ごだい いってつ)は警視庁捜査一課の刑事

強い正義感を持っている反面、感情に任せた暴力的な捜査を行っていた事から
「警視庁 捜査第五課 殺人犯超常捜査係」への異動を命じられます。

五課を統括するのは警視総監の息子である警視正の飛高紫苑(ひだか しおん)

飛高紫苑はシリアルキラーに強い関心を持っている人物で
同じくシリアルキラーに強い憎しみを持っている五代をスカウトしたのでした。

そして紫苑は時空を超えて人の意識を交換できるという超能力を持っていました。
紫苑の能力によってシリアルキラーによって殺害された被害者と意識を交換される五代

果たして五代は過去の凄惨な犯罪を防ぐことが出来るのか?
記事公開後も情報の更新に努めていますが、最新の情報とは異なる場合があります。(更新日は記事上部に表示しています)

事件の動機を考察する上で事件の設定などの解説を行うためネタバレを含む場合があります。
まだサイコ×パストを見ていない方は最初にサイコ×パストを見て下さい。

サイコ×パストのあらすじ

主人公の五代一哲(ごだい いってつ)は警視庁捜査一課の刑事

強い正義感を持っている反面、感情に任せた暴力的な捜査を行っていた事から
「警視庁 捜査第五課 殺人犯超常捜査係」への異動を命じられます。

五課を統括するのは警視総監の息子である警視正の飛高紫苑(ひだか しおん)

飛高紫苑はシリアルキラーに強い関心を持っている人物で
同じくシリアルキラーに強い憎しみを持っている五代をスカウトしたのでした。

そして紫苑は時空を超えて人の意識を交換できるという超能力を持っていました。
紫苑の能力によってシリアルキラーによって殺害された被害者と意識を交換される五代

果たして五代は過去の凄惨な犯罪を防ぐことが出来るのか?

各巻ごとのあらすじは以下にて紹介しています。

「サイコ×パスト」各事件の動機考察

「サイコ×パスト 猟奇殺人潜入捜査」では過去のシリアルキラーが複数登場してきて猟奇的な事件を起こしています。

犯人の思考が常軌を逸しており、サイコパスである犯人の動機を考えていくのは非常に難しいですが、事件を深掘りして動機を考えていこうと思います。

事件1 兵庫・乳房切除連続殺人事件 伊崎良信

事件の概要
計6人の女性に対して、車に連れ込み自宅に拉致監禁を行い、母乳を出させようと牛乳と怪しい薬を飲ませる。
1ヶ月間の拉致監禁を行い、母乳が出ない事を確認すると相手女性の胸を切り取り殺害。
切り取った胸はマスクや衣服に加工して身に着けていた
描かれている動機に繋がる描写
・ある生徒が母親に付き添われて登校したら『マザコン』とバカにされた時に「母親を愛して何が悪い!?」と怒鳴った。
・母親は60歳を過ぎても母乳を出してくれて、伊崎は大人になってもずっと母乳を吸っていた。
・赤ちゃんの為に出てくる母乳には興味がなく、自分の為に出す母乳(やすらぎ)を求めている。
・伊崎の父親は高校教師をしており教え子と不倫をして出て行った事から、母親は父親と女子高生を憎みはじめると同時に伊崎に対する虐待と母乳提供を始めた
五代による動機考察
伊崎は母乳に強い執着を見せていたが、伊崎が求めていたのは母乳ではなかった。
母親が自殺した事で、母親が持っていた女子高生への憎しみを引き継いで凶行に及んだ。
母乳は憎しみの対象であった。

最初は出る訳のない若い女の子に母乳を出させようとして「何やってんだろこの人、サイコパスの思考分からんわ~」と思っていましたが、最終的には駆け落ちで出ていかれた父親と対象となった女子高生への憎しみという事で、読者の納得が出来る動機が用意されていました。

伊崎の心理を見事に読み切った時の五代の推理はお見事の一言で、意味のない行動(伏線)を回収しきった作者のストーリー構成は「お見事」の一言でした。

各巻ごとのあらすじ・ストーリー紹介は以下にて紹介しています。

事件2 彩門病院 連続ベクロニウム中毒死事件 舞城静華

事件の概要
埼玉県の彩門病院で起きた連続殺人事件

看護師「舞城静華」が筋弛緩剤ベクロニウムを点滴に混入させ入院患者4名を殺害
病院が自然死を装い証拠隠滅を図った件を含めると被害者は50人以上と目されている。
描かれている動機に繋がる描写
・1年前に投薬ミスを行っており看護師長に激しい叱責を受けている。
・院長は患者の点滴に何かを注入したと匿名の患者から報告を受けるも舞城の体の関係を求める事で隠蔽
・赤江はるが子供たちと交流するのを邪魔している
犯人による動機自白
犯人は舞城静華ではなく赤江はる
ステージ4のがん患者となった赤江は死ぬ前に「夢」を実現させようとしていた
夢は開発している薬を使って、苦しんでいる患者を救ってあげること(殺害すること)
舞城には子供たちとの交流の時間を邪魔されたことを逆恨みしていた

漫画を読み進めていく中で舞城静華にはどんな動機があってこんな犯罪を犯したのだろうと思っていましたが、終わってみれば犯人は赤江はるという大どんでん返し。

舞城静華が過去に行ってしまった医療ミス、院長との不倫などのミスリードに見事に引っかかってしまいました。

赤江の動機としてはマッドサイエンティスト的なものとなり人間味はあまり感じませんでしたが、これぞシリアルキラーというような常識外のものでしたね。

ここまでサイコパスになってしまうと動機の考察をしようがありませんでした。

各巻ごとのあらすじ・ストーリー紹介は以下にて紹介しています。

事件3 練馬区監禁連続殺人事件 幸坂潤之介(洗脳の傀儡師)

事件の概要
2家族を監禁し、合計9名を殺害

殺害は自らは手を下さず、被害者同士で殺し合わせる。
方法は家族一人一人に付け入り懐柔を行ったうえ、食事・睡眠・排泄の全てを管理して、いう事を聞かなければ拷問まがいの暴力で被害者たちを支配し命令に服従させるようにしたうえで、殺害を実行させた。
描かれている動機に繋がる描写
・幸坂の父はジャーナリストとして世界を回り紛争地帯などの取材歴あり。父の写真から人間は「支配する者」と「支配される者」の2種類しかいないと気付く。
・幸坂の恋人だった浅見が妊娠させ、堕胎させた事でノイローゼになった浅見が邪魔になった
犯人による動機自白
浅見が自殺した際に”人の命すら支配できる悦びを知ってしまった”と告白

練馬区監禁連続殺人事件は幸坂の歪んだ人間観がそのまま動機に結び付いたような形で、一般的に理解できるような動機ではありませんでした。

ただ、人間は「支配する者」と「支配される者」の2種類しかいないという主張は他の漫画などでも出てきますし、エリート意識の高い人はこれに近い考え方をする人がいますよね。

大きく分けたら2種類なのかもしれませんが、人を支配しようとする人って「支配したい」気持ちに支配されており、人間が本来持っている自由な心や真っ直ぐに幸せを願う気持ちなどを手放してしまっているように感じます。

幸坂も優秀な頭脳、圧倒的なカリスマ性を持ち合わせながらも人を支配する事に溺れてしまい、自らの可能性を潰してしまいました。

勿体ないとしかいいようがないですね。

各巻ごとのあらすじ・ストーリー紹介は以下にて紹介しています。

事件4 祝波島41人殺し 軍場蔵人(幽憤の狂戦士)

事件の概要
様々な凶器を使い、島民ら41人を殺害

事件発生の1年前に移住した軍場は島民と反りが合わず衝突を繰り返した後に凶行に至る
加えて軍場は殺した人々をバラバラにした後、1つの巨大な肉の塊を作った
描かれている動機に繋がる描写
連載終了後の随時更新予定
犯人による動機自白
連載終了後の随時更新予定

事件 杉並区一家4人肉塊殺人事件 被害者五代

連載終了後の随時更新予定

サイコ×パストに実話の事件はある?

サイコ×パストでは実話となった事件、モデルとなった事件はあるのかを調べてみました。

その1 兵庫・乳房切除連続殺人事件のモデルとなった事件

最初の事件として描かれた兵庫・乳房切除連続殺人事件のモデルとなった事件を調べてみました。

調べてみると「浦添乳房切り取り殺人事件」という事件が出てきました。
Wikipediaから引用してみました。

1958年(昭和33年)10月にアメリカ占領下の沖縄の浦添村(現在の浦添市)で発生した殺人事件。

飛び込み自殺を図ろうとした男。男は「人を殺したから自分も殺してくれ」と叫んでいたので事情聴取したところ「昨晩人を殺して森の中に放置した」と話したので捜索したところ、供述どおり女性の遺体を発見した。死因は後頭部を殴打したことによる撲殺で、右の乳房が切り取られていた。切り取られた乳房は、男のズボンのポケットから発見された。

引用元:Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%A6%E6%B7%BB%E4%B9%B3%E6%88%BF%E5%88%87%E3%82%8A%E5%8F%96%E3%82%8A%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6)

殺害されたのは男と同棲していた女性でしたが、男の浪費癖によって生活が困窮しており無理心中を図ろうとしたところ男性は死にきれなかったという事件。

乳房を切り取ったのは、男は女性に執着しており持ち歩くために切り取ったとの記載がありました。

無差別殺人という点については共通点はないのですが、乳房を切り取るという点は非常に似通っています。
死体から切り取るくらいの乳房フェチというのは想像が出来ないですが、何事にもフェチ(嗜好)というものがあるという事を知らされる事件ですね。

死体の部位を加工して衣服などを作っていたという点からも調べてみると「エド・ゲイン」という人物が出てきました。

エド・ゲインは2人の人物を殺害し、墓荒らしを行った人物として記録されています。

墓荒らしを行った理由は死体の皮膚や骨を使って記念品を作る事。
造った記念品はWikipediaに掲載されていましたので引用させて頂きます。

ヒトの骨全部とその断片
ヒトの皮膚で作ったゴミ箱
ヒトの皮膚で覆われた椅子
寝台支柱に引っ掛けられた頭蓋骨
上部が挽き切られた女性の頭蓋骨
ヒトの頭蓋骨から作ったボウル
肩から腰まで皮を剥いだ女性の胴体から作った体型補正下着
ヒトの脚の皮膚から作った脛当て
女性の頭の皮膚から作った仮面
9つの外陰部(靴箱の中に入っていた)
少女用の衣装と、「およそ15歳」と判断された女性の外陰部が2つ
女性の乳首から作ったベルト
4つの鼻
日除けの引き紐にくっ付いた一揃いの唇
ヒトの顔の皮膚から作ったランプシェイド
女性の指と爪

引用元:Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B2%E3%82%A4%E3%83%B3)

色々な物を作っていますが「乳首で造ったベルト」など伊崎を彷彿とさせる記念品作りも行っています。

エド・ゲインの人柄としては正直者だったとWikipediaに書かれており、表向きは誠実な人間だった事を伺えます。
ただ、父親がアルコール依存症であったことなど家庭面では問題があったような記述がされており、色々と心の中に抱えた闇があったのかもしれません。

各巻ごとのあらすじは以下にて紹介しています。

その2 彩門病院 連続ベクロニウム中毒死事件のモデルとなった事件

2番目の事件として描かれた彩門病院、連続ベクロニウム中毒死事件のモデルとなった事件を調べてみました。

調べてみると「大口病院連続点滴中毒死事件」という事件が出てきました。
Wikipediaから引用してみました。

大口病院連続点滴中毒死事件とは、神奈川県横浜市神奈川区の大口病院で2016年(平成28年)9月に発覚し、2018年(平成30年)7月、同病院で当時勤務していた看護師の女が逮捕された連続殺人事件。

被害者として立件された死亡者2人のほか、同時期に死亡していた別の2人の入院患者の遺体からもヂアミトールが検出された。事件発覚前の7〜9月の82日間で48人の患者が死亡し、その後の約70日間の間は死亡者がゼロということから、4人以上の被害人数が疑われたが、発覚以前の死亡者は医師の診断により“自然死”扱いで火葬されていたため、既に証拠は失われていた。

引用元:Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%8F%A3%E7%97%85%E9%99%A2%E9%80%A3%E7%B6%9A%E7%82%B9%E6%BB%B4%E4%B8%AD%E6%AF%92%E6%AD%BB%E4%BA%8B%E4%BB%B6)

この事件は彩門病院の事件と酷似しており、モデルとしたんだろうと考察できますね。

実際にこういった事件が起きると動機が気になりますが大口病院の看護師の動機としては「自分の勤務時に患者に死なれると、家族への説明が面倒だった」「患者が亡くなったときに同僚から自分の落ち度を指摘されたことがあり、それ以来、勤務時間外に死亡させることを考えるようになった」と語られています。

少し雑に言ってしまうと”仕事が究極的に嫌になっていた。精神的に病んでいた”と言えますよね。

仕事で鬱状態やノイローゼになってしまう人は多いですよね。今回のように殺人事件になるのは稀ですが、自殺のような結末になってしまう事は現代でも多々あります。

人生の目的は「豊かで楽しい人生を過ごす事」だと考えれば、あくまで仕事はその目的のための一つの手段なので本当に辛くなったら逃げてもいいのではないかと思います。

もう一つ闇を感じるのは病院が隠ぺいしていたという点

綺麗ごとで語れば「悪い事をしたのであれば正直に言うべき」という意見になるのですが、人間は手にしている地位や名誉、もう少し掘り下げると安全や金銭などは簡単に手放せないように出来ています。

実際にこの事件を告発すれば病院で働く大量の人間が食べていくのに困ってしまう、院長の立場で考えてみると自らの経歴に泥がついて今後まともに医者としての生活を送れなくなるというような強迫観念が頭によぎってしまうと隠ぺいと言う行動に出てしまったりします。

そんな事からも匿名で告発できるような窓口が充実するような環境が整っていく事を期待したいです。

各巻ごとのあらすじは以下にて紹介しています。

その3 練馬区監禁連続殺人事件のモデルとなった事件

3番目の事件として描かれた練馬区監禁連続殺人事件のモデルとなった事件を調べてみました。

調べてみると「北九州監禁殺人事件」という事件が出てきました。
Wikipediaから引用してみました。

本事件は、男Mが内妻のBとともに逃亡する過程で、少女Aの父である知人の不動産業の男性を脅迫と虐待の末に死亡させ、その後、Bの親族を北九州市の自宅に呼び寄せて監禁し、脅迫と虐待の末に親族間で殺害させた事件である。

死亡したのは不動産業の男性を皮切りに、Bの父・母・妹・義弟・甥・姪の計7名に及び、裁判ではBの父に対するもののみ傷害致死罪とされ、他の6名については殺人罪が認定された。Bも殺害に加担し後にMの共犯として有罪判決を受けたが、他方でMによる虐待を長年に渡り受け続けた。

本事件は最初に殺害された男性の娘で、父の死後Mとの同居を強いられ長期に渡りMらによる虐待を受けていた少女Aが、2002年に親族宅に逃亡したことが端緒となり発覚した。

Mは人の弱みにつけこんで被害者を監禁して金を巻き上げ、拷問と虐待によってマインドコントロール下に置き、お互いの不満をぶつけさせることにより相互不信を起こして逆らえなくし、被害者同士で虐待をさせることで相互不信を一層深くさせ、自分の手は汚さずに用済みとなった人間を殺害して死体処理を行わせた。

犯罪史上稀に見る凶悪犯罪とされ、第一審で検察側は「鬼畜の所業」と被告人男女を厳しく非難した。2011年12月、最高裁判所によってMの死刑と、共犯として起訴されていたBの無期懲役が確定した。

引用元:Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E4%B9%9D%E5%B7%9E%E7%9B%A3%E7%A6%81%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6)

事件の構図も漫画で描かれている練馬区監禁連続殺人事件と同じで死体処理なども手を汚さずに行っています。

マインドコントロールの怖さを知る事が出来る凄惨な事件であり、胸くそが悪くなってしまう嫌な事件です。

拷問と虐待によってマインドコントロール出来るんですね、一度相手の心を壊してしまうとそれからは簡単に支配(コントロール)出来るという事でしょうか。

人間の心はとても不思議だと思います。
近年は心の病気なども認められるようになってきましたが一昔前は気合いで頑張れとか根性が足りないという無知な認識によりおざなりになってきました。

ただ人の心が壊れると死に至る事もあり「北九州監禁殺人事件」のような事件が起きる事もあり得るわけです。

行動的な暴力だけではなく、言葉による暴力などももう少し法整備などを整えていく必要はあると思いますし、環境的にも配慮できる世の中になったら素敵だなと感じました。

各巻ごとのあらすじは以下にて紹介しています。